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スポーツ交遊日記    山根武司 シーエフスポーツ事業部所属。 サプリメント「セリア」の企画開発営業を担当する一方、スポーツ栄養アドバイザーとして陸上・長距離ほか多方面で活躍中。


by cf-seria

幼い日に

夜中に突然目が覚めると両親がいないことに気付いた。
隣で寝ている妹を叩き起こすと事情も分からず泣き出した。
堪らず電気を点け勇気を振り絞った。
「工場へ行ってみよう。」
他に思い当たる場所などなかった。
そう決めると愚図な割には行動が早かった。
下駄箱の中の懐中電灯と妹の手を握り家を出た。
子供の足で歩いて10分くらいのところなのだが、
外灯のない真っ暗な林を抜けていかなければならない。
そこは真っ昼間でも薄暗い。
遊びに行くときに一度、
5メートルくらいの道を塞ぐようなアオダイショウを見たこともあった。
そういうものは子供の心の中では勝手に大きくなっていくもので、
その頃の僕にはニシキヘビくらいになっていた。
妹を連れて出たのはその所為だったかも知れない。
恐る恐る歩みを進めやっとの思いで住宅街に抜けた。
暫く行くと丘の上の工場に灯りが見えた。
近づくと「カタンカタン」と蹴飛ばしで治具を曲げる音が聞こえてきた。
歪んだ引き戸を開けると両親が驚いた。
真っ先に泣き出したのは僕だったかも知れない。
その頃は仕事に追われていて
僕らが寝静まってから工場へ戻っていたのだと言う。
工場の目の前の幼稚園に通っていたが、
よく送迎バスに乗せられて全員を見送って、
再び幼稚園に戻ってから一人帰った。
先生方も妙に優しかった。
そう言えば遠足の付き添いも近所のおばさんだった。
後楽園遊園地に行ったときも近所のおじさんと一緒だった。
すべての事情が一気に飲み込めた。
by cf-seria | 2006-12-28 12:31 | はじめの一歩