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スポーツ交遊日記    山根武司 シーエフスポーツ事業部所属。 サプリメント「セリア」の企画開発営業を担当する一方、スポーツ栄養アドバイザーとして陸上・長距離ほか多方面で活躍中。


by cf-seria

あれから20年

11月25日、恩師の墓参に行こうと旧友から連絡があった。

もう、そんなになるんだ・・・。

月日の経つのは早いものだ。

校舎の大きな時計が4時を指す頃になると

グランドに緊張が走った。

そろそろ監督がやってくる。

「鬼が来る、鬼が来る・・・。」

誰が歌い出したか覚えていないが、

その姿が見えた途端、口々に微かな声で口ずさんだ。

オレンジ色のウインドブレーカーを纏い、

ノックバットを担いで真っ赤な顔が現れる。

ある時、打撃練習していた仲間のチップが

不意に監督の眼を直撃した。

軟式ボールは変形して食い込むから質が悪い。

監督の黒眼が縦に変形した。

「俺はお前らの所為で猫眼になった・・・」

以来、タモリのような真っ黒なサングラスをかけた監督は

凄味を増した・・・。

何度殴られただろうか。

守備練習でエラーを重ねると

監督がキャッチャーに囁く。

「上がらせろ!」

キャッチャーがどでかい声で呼ぶ。

「山根あがれ〜!」

「あ〜っ、何やってんだ。畜生!」

俯き叫びながら外野からホームベースまでダッシュする。

「オッス、済みません。」

「何やってんだ。」

「ピシャッ!」

「分かったな、行け!」

「シタ!」(有り難うございまシタの省略形)

こんな日は駄目だった。

ノックの嵐が容赦なく襲ってくる。

何度も上がらされてはビンタやケツバットを食らった。

それでも「行け」と行ってもらえるとホッとする。

「シタ!」には喜びも含まれていた。

だって、まだチャンスがあるからだ。

一度、降ろされてから再びノックを受けるようになるまで

半年かかったこともあった。

この時も忘れられない。

クラスの担任に誰もいない放送室に呼び出された。

「お前、昨日落とされたんだってな。」

「えっ・・・?!」

どうやら監督流の気遣いだったらしい。

思い出すだけでも目頭が熱くなる。

あの頃は部員数が60人くらいはいただろうか。

理科準備室で一人ひとりバリカンで頭を刈って下さった。

その時は別人なのである。

思わず何でも相談しちゃうから不思議だった。

高校で野球をやる決心をさせられたのも

バリカンの最中だった。

熱血漢でいつも真っ先に涙する先生・・・。

急逝されて20年になるのだという。

今、こうしてスポーツに携わっているのは

あの先生の影響もある。

この日に行くことは叶わなかったが

近いうちに行こうと思っている。

こんな大事なことを覚えていてくれた

仲間や先輩にも感謝したい。
by cf-seria | 2006-12-09 15:50 | はじめの一歩