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スポーツ交遊日記    山根武司 シーエフスポーツ事業部所属。 サプリメント「セリア」の企画開発営業を担当する一方、スポーツ栄養アドバイザーとして陸上・長距離ほか多方面で活躍中。


by cf-seria

あれから

丁度一年前、大きな地震があった。

おりしも関東地方は猛暑で連日真夏日を記録していたと記憶している。

地震の影響で電車が止まり、運悪く仕事帰りの母親が車中に缶詰になってしまった。


ところで、40年間、親父と一緒に工場をやりくりし働き詰めだった母の楽しみは

我孫子の自宅から松戸の工場までの通勤だった。

通勤仲間も多く、

柏の買い物先に沢山のお茶友達がいたようだ。

母亡き実家の冷蔵庫には喫茶店の割引券が束になって

マグネットされていた。

母からお茶をごちそうになったと色んな人から聞かされた。

丁度、通夜の日に喫茶店のポイントを貯めた応募券が当たって

掃除機が届いたのには笑ってしまった。

母はおそろしいほどの掃除魔だった・・・。


葬儀には人なんて来ないと思っていたら、

見たこともないような女性たちが大挙して涙を流しているのに驚かされた。

余りの見当違いに葬儀屋に怒られたくらいだった。

知っているつもりで知らないことは多いんだな。

そんなことを教えられたような気がした。


親父の工場は俗称「引っかけ屋」

かつてはライターやコンパクトで多忙を極めた仕事だった。

しばらく低迷していたが、

今はデジタルカメラなどで息を吹き返しているようだ。

その職場はバーナーやら、乾燥機やらで熱地獄状態。

並の人間なら1時間もいられない。

ましてやあの猛暑だ・・・。


仕事を終えて途中下車していつもの通りお茶でもしていたら

何事もなかったのかも知れないが、

車中に閉じこめられた数時間であっという間に参ってしまったようだ。

夜10時頃帰宅した母が

疲れたと漏らしていたのを後に近所の人から教えてもらった。

その時、脱水症状から腸閉塞を起こしていたことが容易に想像される。

最初に行った救急病院では単純に熱中症と診断された。

ところが症状がいっこうに回復せず、

数日の後、

救急車で大学病院に運ばれた時にはすでに手がつけられない状態だった・・・。

母らしい生涯。

誰にも迷惑を掛けずあっという間に他界してしまった。

僕の知る限りでは病気一つしたことがないほど頑強な母だった。


熱中症は甘く見てはいけない。

医者は完璧じゃない。

そのほか、此処には書ききれないほど

色々なことを母の死から教わった気がする。

そんなことを思い出しつつ、

栄養士やコンディショニングに携わる人たちへ苦言を一言。

みんな口で言うほど人の生死にはかかわっていない。

そんな甘さが垣間見られる気がする。

選手はもっと緊迫していて、

机上の理論だけでは済まされない状況下にいるのだ。

我々は人の生き死にや人生に深く関わる大事な仕事。

アスリートは常に真剣に我々に助言を求めている。

私は栄養士ではないから

栄養士以上に勉強してきたと自負している部分もあった。

だけど、あれから私の中で何かが変わった気がする。

我々のような人間は

判断もアドバイスもいつも命と背中合わせなんだということ。

自分の言動には命が関わっているんだということを

常の忘れてはならにのだ。

これからスポーツ栄養に携わる若者諸君にこそ、

この思いを理解して欲しい。

アスリートの人生に寄り添うということは

生半可なことではないということを私自身も肝にめいじたい。
by cf-seria | 2006-07-28 02:12 | 無題